先生の想い
ヴァイオリンとのきっかけ
私がヴァイオリンを習うようになったきっかけは父が昔からヴァイオリンをやっていて休日になるとヴァイオリンを出して弾いていました。そのヴァイオリンの音を何回も聴かされていくうちに自分も少し触ってみたいとは思っていましたが、父の楽器は大人用の4/4で当時、8才の小さかった私には大きすぎてとても持てませんでした。そんな所へご近所の母の友人が「1/8のドイツ製のヴァイオリンがあるのだけどウチの子じゃ小さくなって使えないから知恵子ちゃん、やってみない?」とお誘いのお話。あわてて母といっしょにそのお家にヴァイオリンをみせてもらいに行きました。はじめて見た小さなヴァイオリン。どんな音が出るのだろう、父の楽器とは違う音かな?なんて様々な想いを抱きながら楽器を持ち帰ってきたことを記憶しています。初めて習いに行った所は紹介された鈴木の才能教育でした。
楽しかったレッスン
レッスンが始まると本当に毎日が楽しかったです。お教室の中で知り合った隣町の別の小学校に通うTちゃんと仲良くなり、屋上でいっしょにアンサンブルしてたり、良きライバルになり、負けないようにと毎日、一生懸命、練習をしていたせいか、1年後にはザイツの協奏曲が弾けるようになっていました。母が当時、ピアノをやっていたこともあり、父と3重奏をしてキラキラ星変奏曲の録音をしたことを学校の「家庭の日」の作文に書いたら優秀作品として表彰状をもらってすっかり喜んでいた懐かしい思い出が蘇ってきます。
音符が読めない~伸び悩む学生時代
しかし、良いことばかりではありませんでした。6年生になったある日、先生から、もしも、音高へ行くのであればソルフェージュや音楽理論、ピアノ等、他の勉強も必要になるので、音楽学校へと勧められ、4年間楽しんだ才能教育を退会し、別の先生へ。県下で有名なスクールでのレッスンは一部始終が始めは苦痛でした。先生から楽譜に書かれた下線上の音符、「これ、何の音?」音符が全く読めない、数えても間違える。今まで耳からだけで曲を覚えてきた自分に呆れてしまいました。その後、作曲家の先生の所へも同時にソルフェージュとピアノを習い通い出します。やはり、読譜の訓練は楽器を始めると同時にやっていなければとその時に思い知らされました。必至に中学時代、頑張って、音高に入学できました。学校での成績はなぜか1番でしたが、レッスンには様々な疑問点がありました。モーツァルトの弾き方ではないとか、私は納得したことしかやらないとか様々な指摘を受けましたが、自分ではどう弾いたらいいのかがわからなかったりするまま関東の音大へ入学。そこでは教授がアメリカ人だったことでレツスンは全て英語。そこで左手の指の押さえ方のチェックが入れられたのですが、なぜ、そんな奏法をしなければならなかったのかが、実感としてわからなかったのですが、取りあえず、先生のいうことは聴くようにしました。高校時代、すぐには実感としてわからない事でも取りあえずは先生のおっしゃる通り、やって見ることでコンクールで金賞を取れたのだから。その記憶を思い返し、大学でも先生の指示通りの奏法をするのですが、思っていたより成績が上がらず36人中12番とかで何をしても10位までには上がれない自分。評価はS.A.B.C.Dの中でいつもA。何をしたってSを取れない自分に嫌気がさしていました。
素晴らしい恩師との出会い
当時、実家が愛知県で親元を離れ東京で一人暮らしをしていた私には大学院への入学は経済的に無理でした。もっともっと学びたい、何とかしたいと思っていた矢先にある関係の方からロンティーボ国際コンクール等の審査員を務めておられる世界を飛び歩く国際ヴァイオリニストの方になんと見てもらえる機会がありました。ここから、私の人生が変わっていきました。この先生からはスケールの基礎を徹底的に叩き込まれたおかげで見違えるほどの技術を上げ、コンクールやリサイタル等で満足のいく演奏ができるようになったことにとても感謝しています。先生のレッスンの中でいつもおっしゃっていたことは生徒さん、子供さんを教える時はスケールをできるだけ早い時期からスタートさせるようにしなくてはダメだよ。とおっしゃっていた言葉が本当に今、自分の事として心に響きます。たくさん、弾いていくうちに奏法でわからなかった学生時代の疑問点が実感として理解できるようになりました。
良い音程、良い音色はフォームにあった。
最近はお店でヴァイオリン入門だとかその手のDVD等が出回っていたりするようですが、そのようなDVDを見てわからないことはみなさん、何だと思いますか?実は力の入れ加減なのです。
どこに力を入れ、体のどこの部分の力が抜けているのかという大切なポイントを抑えてないといつまで経っても良い音にはめぐり逢えません。
むずかしい話しではなくヴァイオリンの本来の正しい持ち方をきちんと実行することでどんどん早く上達していきます。
しかし、練習なしではどんな場合でも上手になりません。
一年で結果を出さないで下さいネ。発展途上にあるはずですから、どんどん良くなっていく音色を楽しみましょう。
ヴァイオリニストとして共有できる喜び
私は以前、先生にリサイタルのチラシを持って行った時、その時にアドバイスいただいた数々のメッセージが今だに記憶に残っているのですが、本当に素晴らしいヴァイオリニストは誰にでもよく知られているわかりやすい名曲の小品を本当に美しく弾ける人なんだと。ステージで難曲を顔にシワを寄せながら一生懸命弾いているのは聴き手にとって疲れるだけで癒されない。
また、表情もニコニコしながら弾ける曲を出さないと楽しめないということをおっしゃられてました。
プラグラムを見るとマニアックな人にはあまり、知られていない作曲家も入り込んでいました。
1つの曲の中でテンポの速いところと遅いところが混ざってる曲、明るい曲と暗い曲。様々な国の作曲家、時代は古典から現代と全てある方が聴き手には楽しめるのですね。
先生が演奏活動を通して語られた言葉を演奏でブログ上でも繁栄させていきたいと願っています。
美しい音色で数々の名曲をいっしよに奏でましょう。